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すべて真実

生活

楽しき昼時また午后の時

昨日、わが麗しき恋人が家に来た。昼を回って半刻ほどした頃に。 つい2時間前に、遊びに来ることになったのだ。 お昼時なので御飯をつくらせてもらった。 鶏肉と長葱を目一杯つかったお蕎麦。それからかつ丼。 蕎麦の薬味は生姜と山葵。飲み物には一保堂の麦…

過激な変奏

考え事をしていたら、もう日を大きく跨いでいた。 記事をひとつ書く。 前の通り。だがそれは重要ではない。時間は存在しない。けっして存在しなかった。裸形のエクリチュール。なんにせよ、なんであったにせよ、それ以前。おそらくは熱烈な視線。もう取り返…

ショスタコーヴィチの11番

メイソン・カリーの『天才たちの日課』の伝えるところによれば、サッカーが大好きなショスタコーヴィチはよく仲間内でサッカーを楽しんでいたらしい。しかし、しばしば試合中だろうとなんであろうと、急にその場から姿を消すことがあったらしい。友人たちの…

饂飩屋と一保堂

「私」 大女将さん、この茶はたいさう美味しいですね。私はお茶を滅多に知りませんが、これはきつと、さぞや銘店なのでせう。 「大女将」 えゝ、寺町通は一保堂の、茎煎茶でございます。 定本『兵の字日記』星霜書房. 一保堂の茶をはじめて飲んだのは、今は…

バルトークのこと

ーーこの共同作業には何か根本的に音楽的な要素、衝動があると思う。ドゥルーズもきみもよく鼻歌をうたう人たちだ。音楽的配分なしには不可能なデュエット、オーケストラとしての共同作業。話を聞いているとふたりの作業が全然リニアに構築されていないこと…

痛ましい愛について

我が麗しき恋人がジツニツマラナク、またクダラナイ悩みを抱いているようだ。あまり頓珍漢なことを考えてちゃあ、健康に良くないぜ。 ボクのタチなんだと思うよ。なにかヨセツケやすい。そしてこちら側ものりやすい。その対象に解剖学的な性の差異はないよう…

「それは最初に与えられるものをすでに支配している」 ――家系と病

Joseph-Hugues Fabisch『Oedipus at Colonus』 無意識は、私の記憶の中の空白によって記されたところの、あるいは嘘によって埋められたところの一章なのである。 すなわちそれは、検閲された章である。 ラカン / 竹内迪也「精神分析における言葉と言語活動の…

おい、おかしいでしょう

件の番組をみて怖さを憶えたってひとが近くにいた。真っ当だと思った。 そのひと曰く、主人公の夫婦ほど度重なる苦難の対処に協力してくれるような隣人に囲まれた人間など現実には殆どおらず(2人の出会い自体がそうなんだけど)、この点においてこの話はま…

自分が愚かで、ダメな人間になったような気がする

『ミニマ・モラリア』の一節。テオドール・アドルノの言葉。そして、世間を賑わせている(とボクは想像するのだが)、昨晩に新春特番として放映された件のドラマを流し観していた、ボクの感想である。 なぜだろうな。なんか大事なものが随所から抜け落ちてる…

亡き友についての

吉増剛造さんとかかわりをもたせていただくようになったのは、今から2年前のことである、詩人の個展でお会いしたのを契機に、折々の場所でお世話になっている。 展示や講演、上演の場にしがない聴講者としてお伺いさせてもらったこともあるが、お手紙のお返…

わたしを苦しめる唯一のことは、わたしの愛をあなたに証明するのがどうしても不可能だということです

フロイトの言葉だ。 しかし、われわれ(みな)の言葉でもある。 恋人に本を贈った。バルトの『恋愛のディスクール』である。 夜に訪れる瞑想的な時間のなかで、彼女はこれを読んでいた。ぼくは、シュネーデルによるグールドを捲っていた。彼女は『ディスクー…