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すべて真実

6番


On CD and Blu-ray: The Symphonies of Gustav Mahler with the Berliner Philharmoniker

 

 

ベルリン・フィルマーラー交響曲のコレクションを発売するらしい。上に貼ったのはPR動画だが、冒頭から使われているのは『6番 悲劇的』である。

僕はこの曲が大好きだ。作品の開始から好きだし第2楽章のスケルツォも好む。第3楽章の些か抒情めきすぎた旋律は好みではないが、第4楽章の管弦楽法は見事というしかない。もちろん、素人耳の印象でしかないが。

この曲の代名詞はおそらくふたつある。ひとつは「ハンマー」。もうひとつは「アルマの旋律」である。よく知られるように、この曲では最終楽章で2回(初敲では3回)、ハンマーが楽器として使用される。ベルリン・フィルの上の動画にもその場面が登場する。

「アルマの旋律」はビスコンティが映画に使用したことでよく知られる。あの甘やかな旋律はなかなか印象深く、柴田南雄でさえ、このことを誉めていた気がするーー監督の戦略に「肯定的だった」とまでは言えない、虚憶えだーー。

かつて予備校時代の先生と喫茶店にはいったとき、この第2楽章「アルマの旋律」が店内で流れた。瞬間、これをマーラーと言った先生はなかなかだと思った。しかし、それがビスコンティの影響によるものだと見抜いた僕の方が上手だと自分では思っている。なんにせよ、この日1番エリートな会話だったーーもちろん、せいぜい「スノッブ」だーー。

 

ところで、柴田南雄も人生ではじめて聴いたマーラーは『6番』だったはずだ。藝大の管弦楽団だったと書いていたはずだ。

マーラーフロイトと関係もあった。ほんの僅かな時間の交流だったが、フロイトマーラーの心的な不安、病的な癖の根源を気づかせたという。マーラーはそれに感動し、フロイトの言ったことを充分に理解したらしい。フロイトは、マーラー ほど自分の考えをーー短い時間のなかで、という条件がついたかもしれないーー理解した人物はいないという旨の発言を遺したらしい。

 

『6番』はラファエル・クーベリックの指揮。それからピエール・ブーレーズ指揮の録音を好む。