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すべて真実

仏教

キエフの外で

ショスタコーヴィチの11番について書いたから、鐘が印象的な音楽をいろいろ考え始めてしまった。 おそらくクラシック音楽で「鐘」といえばムソルグスキーの『展覧会の絵』「キエフの大門」だろう。まあラヴェル版になってしまうんだろうが、それでも鐘といえ…

経量部について

五世紀のインドの代表的知性のひとりに仏教哲学者 ヴ ァスバンドゥ(Vasubandhu 世親)がいる。彼の初期の大著『阿毘達磨倶舎論』(アビダルマの庫 Abhidharmakśa : abbr.AK)全九章は説一切有(Sarvāstivādin)のなかで も保守的路線 をとるカシミール系ヴィ…

疑問3点の訂正

自分が抱いていた疑問が先生へのご相談でいくつか氷解した。 くわえて、何点か自分の理解に誤りがあったことを知ったので、記する。 ――――――――――――――――――― ①推理は知覚の延長にあるか。 → 実際そのようである。推理は前提的に知覚を必要とする。 ②相について →…

疑問3点 ディグナーガのおまけ

実は、認識論を齧りはじめたのはここ1週間程度のことである(念のために言うが、なにも誉められたような話じゃない)。したがって、付け焼き刃な知識も多く、読解もちゃんとできてるか不安な点が多い。しかし、めっちゃ面白いのは確かなのである。アビダルマ…

ディグナーガの認識② 推理について

前回のつづき。短いけれど ーーーーーーーーーーーーーーーーーー ディグナーガによれば、知覚は感官をつうじた直接認識とされ、それは普遍相を由来とする認識と対立する。なぜなら普遍相に依拠した認識は、認識の経験の前提に言語を介する――概念化を必要と…

ディグナーガの認識① 知覚について

以下、インドCのメモ。仏教ネタは次回で最後にさせるつもり。 ーーーーーーーーーーーーーー 仏教論理学は大きく二種に大別することができる。それは認識論と討論術である。ディグナーガの主著『集量論』の構成も、この二者を混ぜ合わせたかたちでとられてい…

『中論』の目的

インドCの初回のレポート。一部改筆。 ――――――――――― 『中論』はどのような目的のもとに書かれたか.龍樹はつぎのように述べている. 問曰.何故造此論.答曰.有人言萬物從大自在天生.有言從韋紐天生.有言從和合 生.有言從時生.有言從世性生.有言從變生…

不飲酒戒について

お前は仏教学専攻なんだから仏教についてもう少し書きなさい、というお叱りを受けたので、ちょっとの間、仏教関連のことを連投することにする。今回はゼミ提出用レポート。 ―――――――――― 1.前提と目的 釈尊が不飲酒戒を制定した契機は『四分律』『十誦律巻』…